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「ねぇ、シャオロンくん。辛くないの？悲しくないの？」
どの口が、なんて笑けてしまいそうな言葉を吐き出す汚いAの口を優しく同じように欲に塗れて薄汚れた小さな口でシャオロンが塞いだ。消毒液の入った瓶がAの手から滑り落ちる。鈍い音を立てて地面を転がる。大人のそれより拙くて、子供のものにしてはずっと淫らな接吻に必死になって酸素を取り込もうとするけれど上手く行かず、酸欠でへたり込んだ。銀の糸が唇と唇の間で光って、それから自重でぷつりと切れる。
「だって、Aさんがいてくれるから」
「どうして、くずれないの？」
「Aさんがいるから」
「ちがう、ちがうわ。ちがうのよ、わたし、。ちがうわ、こんなの可哀想じゃない」
「やさしーな、心配してくれるん？あは、しっとるしっとる、Aはやさしーみんなの模範みたいなコやから、大丈夫。息浅いで、深呼吸、深呼吸」
「ね、ちがう。ちがうの、あの女、鈴木さんがもっと手酷くいじめるはずだったのよ。ねぇ、違う、ちがうの、可哀想じゃない。こんなの、ちっとも可哀想じゃないわ」
「Aさんがいるから俺は生きていられた。Aさんのおかげでおれは頑張ってこれた！優しいAさんが勇敢にもいじめからおれを守ってくれるから、俺は毎日Aさんに会うためだけに学校に行くことができた。Aさんのおかげ、優しい、世界で一番優しいAさんのおかげなんやで！！せやから、そんなに悲しそうな顔せんで？な？」
「いや、ちがう。ちがう、こんな」
「ね、Aさんのおかげなんやで！全部全部！おれ、うれしーねん！だって、だってだって、Aさんだけがおれをみてくれた！Aさんだけがおれを守ってくれた！ありがとう、ありがとうありがとう！！これ以上嬉しいことなんてあるわけがない！！そーやろ！」
「ちがう、こんなの、わたしのしゃおろんくんじゃない…やだ、いや、そんな」
「ん？安心しーや、おれはいつでもAさんのもんやで！だって、アイツらだけがペットで、おれだけが他人だなんて、そんなん許すわけないやろ。……泣かんでええよ、大丈夫。誰よりも優しいAさんのこと誰よりも信じとるで」
「ちが、ごめなさ、こんな」
「はは、かわえーね。なぁAさん、可哀想なおれのお願い、叶えてくれへん？」
まるで一世一代のプロポーズみたく、頬を染めて幸せそうにシャオロンは笑う。
「おれと心中してください！」
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雨蛙躑躅(プロフ) - ハトポッポさん» コメントありがとうございます。己の好きを詰め込んだに過ぎないのですが、そんな風に温かいお言葉をいただけて雨蛙はこれ以上ないほどの幸せものですね！読んでくれてありがとう！これからも雨蛙をよろしくお願いします！！ (4月14日 13時) (
レス) id: 41dac67fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ハトポッポ - 最高です。苦しくなるような美しい世界感が大好きです。 (4月14日 0時) (レス) id: c3e1e2758f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨蛙 | 作成日時：2024年3月25日 20時
