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 この国の幹部には図らずにも美形が多い。しかし、その美形たちは生まれ持っての美形で、なので美しく"なる"ことの参考には向いていなかった。


Aは鏡の前で泣き跡を触りながら考えた。


誰に教えを乞う必要があるのか。



 オスマンは確かに美に造詣が深そうに思える。身だしなみに気をつかっていると言えば、鬱だって該当する。でもどちらも当てにはならなかった。
 Aは2人とも普通に頭がおかしい人だと思っていたから。オスマンは毎日洋菓子を貪って片付けもしないし三日坊主だし使わなくとも厨房の爪楊枝を全部掻っ攫っていくし、鬱は言うまでもないことである。



 そもそも争いごとの専門家が集まるこの場所で、美を追求すること自体がおかしいなことなのかもしれない。
洗面台に手をつき自分の顔をじっと見つめる。今にもくしゃくしゃになりそうな情けない・頼りない顔だった。

まずは自分のマインドから変えていく必要があるようだった。





「…というわけなのだけど」


「ネガティブすぎるだろ」


「だから貴方に相談しているの。あなたすごくナルシストだから」


「はい?」


 らっだぁは足を粗雑に組んだまま、目の前でひくりと口角を動かした。
なんてことない間抜けな動作ひとつにとっても、薄暗い照明が彼の顔に陰影をつけていて、それがため息をつくほど美しかった。

Aは彼と向かいあってワインを弄んでいた。


 タレ目と、気だるげな雰囲気が「一見かっこいい」一国の長。
国民の忠実さと顔の広さ、そして彼自身の実力も相まって、彼の国は今なお発展を続けている。
グルッペンの率いる国とは親交が深く、その上らっだぁは顔見知りだった。だからAは張り切ってバーの予約を入れた。


 Aはあの日のうちに新しい下着と洋服を買って、今日は自分にとっての精一杯のおめかしをし、ほんの少しお化粧もしたし、いつもより淑やかに歩いてみたりした。しかしらっだぁという身も蓋もない男は、開幕早々にAを下から上まで一度だけみて、


「え、なんか今日変じゃね?」



と言い放った。

 Aはそれに本当に傷ついて、らっだぁを殴りながらちょっとだけ泣いた。この男はこういう態度なのだと分かっていたけれど、少しだけ期待していたのに。でもそのお陰で、らっだぁの前では全部話してしまおうと思えた。

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飼い主の姉(プロフ) - pnさんが夢主に狼狽する姿や描写が可愛くて好きです〜…!!🫶 無理しない程度に更新頑張って下さい! 応援しております (12月5日 14時) (レス) @page12 id: 5ee2b54502 (このIDを非表示/違反報告)
_maimai0101_(プロフ) - スキデス……夢主ちゃん頑張って〜〜〜〜!!!!生姜焼き太郎さんの世界観好きすぎます……!!!続き楽しみです🫶更新待ってます〜!!!!! (10月16日 17時) (レス) @page8 id: cc01457125 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - 読みやすくて、とても面白かったです。続きも楽しみです🫶🏻🫶🏻 (10月16日 13時) (レス) @page8 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:生姜焼き太郎 | 作成日時:2023年10月15日 11時

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