55話 ページ5
翌日
ut「今日もとか、だるいわ…うぅ」
ut「ぼくの艶肌がやけちゃう…」
zm「何言うてんの大先生」
ut「うわｯ！びっくりした…」
zm「Aは？」
ut「まだきとらん」
背後をとられ、心臓がバクバクと
鳴り止まない。ゾムの真っ白な犬歯は
いつか俺を食い殺すんではないかと
たまに本気で思う。
そんな他人のことも気にせず、ゾムは
Aの席に座り引き出しの中を
漁り始めた。
使い込まれているノートを覗いては
字が思ったより小さいなーと呟いて
不良のわりには、教科書がきれい
と関心
探検家のつもりでAの机を
覗いているとドンッと机上に荷物が置かれ
山の主が睨んでいた。
zm「あ、A、おはよ！」
ut「おはよう……？」
「…なんで机あさぐってんの」
zm「なんかおもろいもんあるかなって！」
zm「てか、ふつーに真面目やん」
zm「やっぱAって、頭ええよな」
「もう漁るなよ」
zm「へーい」
ut「うぅ」
zm「A、Aってさ競技借り物やろ！」
「…うん」
ゾムは、俺の手を潰れるほど
つよく握りしめてブンブンと振り回す
何か問題があるのかと、痺れを切らした
俺が問えば幸せそのものと言いたげな
笑顔がフードの中から現れて
zm「俺もやねん！イッショ！」
「…そ」
zm「Aと走るの楽しみやわ…」
zm「あ、今度こそ飯食おうな？」
zm「遊びにも行きたいねん」
「…金ないから、溜まった時な」
zm「おん！」
ut「…」
Aが体の仕事をしていることを
しらないゾムは普通の会話と受け流して
好きなことを喋りだした。Aも
心做しか安堵しその話を聞いてあげとる
…何考えて、今のゾムの話聞いてるんやろ…
zm「親がなハンバーグばっか作ってん…」
zm「しかも同じチーズハンバーグやで？」
zm「美味いんやけど、流石に飽きたわ」
「…」
zm「A？」
「…あ、すまん。ハンバーグだっけ」
「親御さんも忙しいんだろうな」
zm「せやなぁ」
ut「…」
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作者名：あちき
| 作者ホームページ：http://33550619
作成日時：2024年3月28日 22時
