65話 ページ15
「なんでさ、やるの？」
ut「そりゃ食パン1枚可哀想やからやろ」
「…だから、一緒食うの嫌なんだよ…」
Aが嫌そうに頬張りながら
食パンを握る手を強める。最近思ったが
Aって自分へのイメージに強いこだわりが
あるねんな
kn「なら作れや」
「…めんどくさい」
em「あ、ならAさんはおかずだけつくって、私がご飯持ってき「いらん」
「…」
「冷蔵庫とかうちないし…」
ut「へ」
「もう知らん！昼休みも後5分やぞ！」
食パンを詰め込み逃げるように
去っていったA。残ったメンバーで
今の発言を振り返る
em「冷蔵庫とか、ですか…」
kn「…」
sha「別に1品くらいならかーちゃん喜んで作ってくれるんやけど」
zm「俺ら全員で1品ずつもってけばAも食えるやん」
rbr「せやせや」
em「…」
…仕方ない
Aさんが困る前に教えてあげよう
em「Aさんは、極端な等価交換主義なんです」
zm「は？なんそれ」
em「やから今みたいに善意で何かをされることが苦手で」
em「何かを得るなら、対価を支払わなくてはいけない考え方の人です」
em「それが極端すぎて、パンひとつすら受け取れなくなってもうたんですけどね…」
zm「…」
やから、不機嫌に逃げたんか
…でもふつーにティッシュくれたやん
教科書貸してくれたし、意味わからん
俺らは何も支払ってないで
em「でも優しい人なんで他人には甘いんですよねぇ」
em「ほんま可哀想な人ですよ」
rbr「…」
───
放課後
「…」
腹がいっぱいだ。おかずのおかげか…
表面上のお礼を彼らに送信し、
帰ろうとしたその時
ci「A、さん!」
「……こないだの」
あの時の気まぐれがここまでやってきた
彼にはイメージを崩たくない
猫背で彼を睨む。なのに怯えもせず
ニコニコとスマホをみせて
ci「あの！、LI〇E交換しませんか、？」
「…むりci「あの時からあんたのことが気になってもうて」
ci「いつも見てたんですけど、そしたら惚れたねん」
ci「寝てるところとか優しいところとか」
ci「や、やから…」
ci「少しでもお近付きになりたくて…」
「…」
「…わかった。そんなLI〇E見てないけど」
ci「！ありがとうございます！」
syp「…」
いいな…
───
「はぁぁ…」
なんで交換するんだろうなぁ自分は
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作者名：あちき
| 作者ホームページ：http://33550619
作成日時：2024年3月28日 22時
